SILVER SPOON

銀の匙だより


ポタージュのこと

歳を重ねると誰でも、噛んだり飲み込んだりといった食べる力が弱くなります。誤嚥や誤嚥性肺炎といった言葉も広く知られるようになってきました。
病院や施設では誤嚥を防ぐために、とろみ剤というものを使います。栄養士になったばかりの頃、とろみ剤で味噌汁やお茶にとろみをつけるのが仕事でした。

今は違うのですが、当時はとろみの濃度(飲み込む力の程度によってとろみの強度を変えるのです)を表現するのに食品を例にしていました。「とんかつソース状」「ヨーグルト状」というように。

その中に「ポタージュ状」というのがありました。味噌汁にポタージュ状のとろみをつけながら、生意気な新人栄養士だった私は思ったものです。「だったら普通にポタージュを出せばいいのに」と。
給食はコストとか作業工程とか折り合わなくではいけないことがたくさんあって、その制限の中で思いを実現させるのが栄養士の仕事、と知るのは数年後のことでした。

さて、銀の匙では毎営業時、季節の野菜を使ったポタージュをメニューに入れています。
ポタージュを作る時は、栄養士を志した初心を思い出す時です。

野菜の滋養が凝縮して、飲み込む力が弱い人にもやさしい濃度のポタージュ。
ちなみに次回お出しするのは「かぼちゃのポタージュ」です。
よろしければ、お試しくださいませ。



「やわらかデリのBOXごはん」のこと

今年2月より「やわらかデリのBOXごはん」というお弁当を始めました。かねてより<コンパクトなのに栄養が摂れて、楽しくておいしいごはん>を作りたいなと思っていたのです。

きっかけの1つに、高齢者施設での栄養士経験があります。昼食時に食堂に行くと、特に女性の利用者さんから「こんなに食べられないの」と、よく言われました。食べている間に疲れちゃうの、と。(もちろん、しっかり召し上がる方もいらっしゃいます。)

「やわらかデリのBOXごはん」は
・季節のミートボール
・季節のポテトサラダ
・ピラフなど変わりご飯(または季節のキッシュ)
という3品構成。
無理なく食べきれる量なので、軽めの夕食などにいかがでしょうか。3品で500Kcal前後とヘルシーなので、ダイエット中の方にもおすすめです。

まだ試行錯誤中ですが、フタを開ける時にワクワクするようなメニューをいろいろ考えていきたいなー、と思っています!



キッシュのこと

母はいわゆる食育に熱心で、子どもの頃は、朝食に卵と牛乳をかならず食べる(飲む)のが決まりでした。体が丈夫になるから、と。と言っても食卓に乗るのはたいがい目玉焼きかゆで卵、加えてそのままの牛乳なので飽きてしまい、小学校高学年からは自分でフレンチトーストとか、ミルクセーキとか作っていました。

さて、キッシュはフランス・アルザス=ロレーヌ地方が発祥の地だそうですが、最初に考えた人はお母さんなのではないでしょうか!卵、牛乳を使うから栄養いっぱい。(バターやクリームも入るのでカロリー過多には注意ですが。)野菜をたくさん摂れるところも家庭的です。いつも家にあるような野菜でもいいし、季節の野菜を使っても美味しい。バリエーションが無限に広がるところはスープにも通じます。

スープにもワインにも合う軽食ということで、銀の匙でもキッシュを作ってお出ししています。パートプリゼ(生地)作りは奥が深いですね。ガルニチュール(具材)の味を生かせるように、アパレイユ(卵液)は濃厚すぎない配合にしています。
6月になったら夏野菜のキッシュを作ろうかな。(写真)よろしければお試し下さいませ。



初めてのコラボ

1月のとある夜。西武池袋線東長崎のカフェ「名前はまだない珈琲店」さんのスペースをお借りし、コラボイベント「スープとワインでひとやすみ」を行いました。キュイジーヌ銀の匙からは、クラムチャウダーと白ワイン(シャルドネ)をお出ししました。初めてお会いするお客様ともいろいろお話できて、楽しかったです!

実は名前はまだない珈琲店さんは、コマワリキッチンの大先輩。2年半前にオープンされたお店では、やさしい飲み口のコーヒーやこだわりのお菓子をいただくことができます。

道に面しているから入りやすく、いつ行ってもお客様がいます。イベントの日の夕方も常連さんという男性がヘルパーさんと一緒に来ていたり、良い雰囲気でした。

ホッとくつろげる街の居場所のような、名前はまだない珈琲店さん。銀の匙もそんなお店になれたらいいなあ。


夕暮れ時の店内。灯りが温かくてホッとします。

「銀の匙だより」について

コマワリキッチンでの営業やその他の活動のこと、料理や食べ物のことなどを書いていきます。不定期更新です。


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